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父の再婚相手のこの女を私は好きになれなかった。
根本的に気が合わないのかもしれない。実際、この女も私に合わせてくることはない。
それも気に食わないのだが、二人が結婚してからというものの、母との連絡もぱったりと途絶えたのだ。
朝食も私だけ牛乳一杯で終わり。継子だからといって、ここまで悪意を露骨に表すこの女と、何も言わない父には本気で呆れる。
今の私には、この女は勿論、父すら親とは思えなかった。
心の拠り所は、何処にいるか分からない母一人。
「お母さん、何処に行っちゃったのかな」
父がいないリビングで、私は女への当てつけ半分、単純な疑問半分に、そう溢す。
「恵ちゃん、お母さんが何処にいるか知らないの?」
とぼけるな、と思いながら、私は頷く。
「そう。なら……今から連れて行ってあげる!」
何が起こったのだろう。背中から胸にかけて何かが刺さり、床には赤黒い液体が流れている。
「馬鹿な母娘。あとはあの邪魔な男を殺せば、遺産は全て私のものよ!」
これ程悪意に満ちた女を怨みながら母は死んだのだろうか。そして私も――。
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