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カイル「さてとッ!!」
カイルは勢いをつけてベッドから飛び起きた。
カイル「そろそろギルド本部にお出迎えと行きますか!!」
そう言ったカイルの表情は期待と高揚感に満ち溢れた笑顔をしていた。
ユウナ「ちょっと待った!!私も早く行きたいケド…この宿食事は出ないみたいなの。だからとりあえず夕飯の買い出しや生活必需品の買い出しを優先しましょう。」
ユウナの提案にカイルは反論したが口論でユウナに勝てる訳もなく,渋々ユウナの意見に賛同する事になった。
ユウナ「それじゃあ行ってくるわね。」
カイル「行ってら---。」
ベッドでふて寝しているカイルを微笑みながら見つめた後ユウナは静かに部屋を出た。
カイル「はぁ-ぁ。なんでユウナは5年も待たされたうえに行方不明になりやがった恋人の行方がすぐ分かるかもしれないっつーのにあんな冷静でいられんだよ。」
ベッドで大の字になりながらカイルはブツブツとユウナに対する不満を呟いていた。
カイル「バカ兄貴…。いつまでもユウナに寂しい思いさせてんじゃねぇよ。」
今度はいつの間にか兄貴への不満を1人誰もいない部屋で目に止まっている天井に対しぶつけだした。
そしてその内ドンドルマに来るまでに溜まっていた疲れが一気に体中を襲い,いつの間にか眠りに落ちいったのであった。
ユウナ「ただいま-。ってあれ??」
両手に溢れんばかりの物が詰め込まれた紙袋を2つ担いだユウナが部屋に入ると,そこにはスースーと寝息を立てて眠っているカイルの姿が目に止まった。
ユウナ「あらあら,疲れて眠っちゃったのね。」
ユウナは紙袋を机の上に置くと,何もかけずに眠っているカイルに布団を一枚かけ,優しい笑みを浮かべながら眠る様子を見つめた。
ユウナ「フフッ,可愛い寝顔ね。」
そう言うとユウナはカイルの頭を起こさないように優しく撫でる。
カイルは依然として起きる様子は無い。
ユウナ「いつもは元気なフリしてても本当はまだまだ精神的に不安定な18歳だもんね。私よりもカムイに会えないのが辛いのはきっと…。」
ユウナが全てを言い切る前に瞳からは大粒の涙が溢れだしてしまっていた。
ユウナ「やだもう…私ったら…。」
涙を上着の裾で拭い,ユウナはもう日が落ち暗くなっている街並みの映る窓を見つめていた。
ユウナ「カイル…こんな私を一緒に連れて来てくれて本当にありがとう。」
そう言うとユウナは自分達がこのドンドルマに来たいきさつを思い起こしたのだった。
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