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彼が向かった場所なんて分からない。
彼が通った道順すらも分からなし彼に会えるのかも分からない。
だけど私は走り続けた。
……いったいどれほど走りつづけたのだろうか??
辺りはもう真っ暗で慣れない山道を走りつづけ,私の足腰はもうすでに限界に達していた。
その時,固い木の枝が私の足の甲を貫いた。
「痛ッ……!!」
私はその場に倒れ込んだ。
そしてその瞬間体に激痛が走る。
あまりの疲労からもう体が悲鳴を上げたのだった。
私は泣き叫んだ。
きっと山中に響き渡るくらい大きな声で叫んだろう。
痛み,苦しみ,悲しみ。
その全てが合わさって私を精神的に限界まで追いつめていた。
その時ある気配に気が付いた。
大きな鼻音を立てながらゆっくりとこちらを伺うように向かってくる巨大な影。
それはファンゴの姿だった。
私は突然の事にパニックを起こし必死に逃げようと体を起こした。
しかし立ち上がったはいいものの,足の甲に枝が刺さったとこから激痛が走りまたしゃがみ込んでしまった。
私の弱りきった姿を見たからか,ファンゴはこちらへ狙いを定める。
正直この時私は死んだと思った。
愛する恋人にも会えず,どこか分からない真っ暗な山奥でモンスターに襲われ死ぬんだ。
もう諦めよう。
「カムイ。
最後に一目でもいいからアナタに会いたかった。
本当に今までありがとう。
私は誰よりもアナタの事を愛してるよ。カムイ…。」
私の最後の言葉を聞き取ったかのように次の瞬間ファンゴが勢いよくこちらに向かい迫ってきた。
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