第二章:旅の理由

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それから1時間と経たない内に彼は村を出るための準備をしていた。 私はその姿を膝を抱きながら,ただ黙って見つめていた。 カムイ「足ケガしてんだからわざわざ門まで来てくれなくても良かったのに。」 彼が村の門をくぐり抜け,その門の前で黙り込んだままの私に向かい精一杯の笑顔を見せながら言った。 カムイ「あっちに着いてハンターになれたら必ず手紙をユウナに送る。約束するからそれまで待っててくれよな。」 きっと彼はこうに言えば少しは私の心が晴れるのではないかと思ってこう言ったのだろう。 でも結果はその逆。 その言葉を聞いた私の心はズキッと痛んだ。 理由は簡単。 手紙だけでしか彼との繋がりが無くなってしまうのが怖かったからだ。 そんな私の姿を見て立ち尽くしていた彼だったが,意を決したように静かに後ろを振り返る。 そして一言 「行ってくる。」 と,言い歩き出した。 私にとって彼が歩むその一歩一歩はとても大きなものだった。 一歩,また一歩と歩む彼の姿を見るたびに胸の痛みが増す。 そして私は叫んだ。 「カムイ-!!絶対にハンターになって目的を果たしてきてね!!私応援してるから!!いつまでもカムイの帰りをここで待ってるから!!」 私の声が耳に入ったのかカムイの歩みはピタリと止まった。 そんな彼に私は言う。 言い忘れていた大切な一言を。 「カムイ…行ってらっしゃい。」 その一言を言うためにどれほど苦労したことか。 言い終えた私の目からは再び大粒の涙が溢れだしていた。 私の言葉を聞いたカムイは再び歩み出した。 だけどその後ろ姿は先ほどの彼とは違う。 まるで安心仕切ったかのように優しい雰囲気であふれていた。 そして彼は最後にもう一度だけ私に言った。 「行ってくる!!」 そう言うと彼はもう一度も村に,私に振り返る事もせず,密林に向かい走り去って行ったのだった。
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