第二章:旅の理由

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------5年後 ------ハレノ村,カイル自宅 カイル「おっちゃ-ん!!いつもありがとな-!!」 「お-ぅ!!また手紙が届いたら届けくるからの-。」 そんなカイルと郵便屋のおじさんのやりとりが私のいる台所まで届いてきた。 ハレノ村の空は今日も晴天。 カンカン照り過ぎて村の人達はみ-んな片手にクーラードリンクを持ちながら移動するくらい。 カラッとしていてとてもいい天気だ。 ドタドタ!! ユウナ「おっ!!帰ってきたきた。」 カイルが帰ってくるのを見計らって私は鍋の中でコトコトと煮立っている"ポポノタン入り特製シチュー"をカイルと私のお皿によそった。 カイル「ただいま-!!兄貴から手紙届いたぜ-!!」 満面の笑みで家に帰ってきたカイルの右手には強く握りすぎてクシャクシャになった一通の手紙が。 そうカムイからの手紙だ。 彼が旅立っていったあの日から数日後。 カムイは見事夢だったハンターになり,そして私との約束を守りちゃんと手紙を書いて送ってきた。 それから5年間,私達は毎月文通でお互いの心境などをやりとりしているのだ。 ユウナ「あ-もう!!カイル!!あんたまた手紙クシャクシャにしてるよ-!!」 カイル「あっ!!わりぃわりぃ。それより腹減った-!!ひとまず腹ごしらえ!!飯ッ!!飯ッ!!」 ユウナ「うるさいわね-。今用意してるからまってなさいよ。」 カイル「おぅ!!」 カイルは手紙をテーブルの上に置くと鼻歌を歌いながらイスに座った。 カイル「今日は昼飯なに!?」 ウキウキとした様子でカイルが聞いてきた。 ユウナ「今日はポポノタン入り特製シチューよ。」 カイル「え-!?このクソ暑い中シチュー!?」 ユウナ「はい,文句言わないの。手紙が届く日はいつもこれって決まってるでしょ。」 私は熱々のシチューの入った皿をカイルの元に置く。 カイル「まぁそうだけどさぁ-。」 ちょっと嫌そうな顔をしたカイルだったが,一口シチューを食べたとたん笑顔になった。 そんなカイルを私は微笑みながら見つめていた。 私がこの5年間,カイルと共に過ごしてきた時間は本当に楽しく幸せだった。 毎日笑顔が絶える事が無くて,カムイがいなくなったあと心の底から笑えるようになったのは毎日そばにいたカイルのおかげだと言っても過言ではない。 私がカイルを支えるつもりがいつの間にか私が支えられているようだった。
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