第二章:旅の理由

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「お…よ……おき………!!」 ユウナ「ん-??」 誰かに呼ばれた気がして私は目を覚ます。 どうやらアイナと話してるうちに眠ってしまっていたらしい。 そして寝ぼけ眼のまま声の主の方に目をやった。 カイル「ユウナ!!やっと起きたか!!早く家に戻ろう!!やべぇんだ!!」 ユウナ「え…??カイル??なんで家いんの??」 カイル「そんなんいいから!!とにかく早く!!俺は先に家戻ってっから!!」 私はボーッとした頭で必死に状況を理解しようとしながら眠たい目をこすり起きあがる。 ソファーには騒ぎで目を覚ましたアイナがカイルの姿を見て真っ赤な顔をしたままキョトンとしていた。 部屋着から着替えた私はやっと緊急事態なのだということに気付き,急いでカイルの自宅へ向かった。 ユウナ「カイル-!?一体何が……えッ!?」 家に入るとそこには見知らぬ男が2人いた。 ユウナ「えっと…どちら様ですか…??」 その2人は明らかにこの村の人達とは違い,整った堅苦しいような服装をしている。 そして私の問いかけにまずはいかにも真面目そうな男が答え出す。 男「申し送れました。私はドンドルマ・ギルド中央本部より足を運びました"チェスター"と申します。」 そう言うと男は私に向かい頭を下げる。 今度はその隣の金髪で顔の整った男が口を開いた。男「私も彼と同じく中央本部より来ました。"シュバイツァー"と申します。以後お見知り置きを。マドモアゼル。」 そう言うと男は私の手を持ち挨拶代わりとキスをしてきた。 ユウナ「止めてください!!」 突発的に私は男にキスされた方の手を引っ込め,上着の裾で手を拭いた。 チェスター「シュバイツァー!!お前って奴は…!!」 シュバイツァー「おっと失礼お嬢さん。私が以前住んでいた国ではそのような挨拶は日常的に行われていたものでついね。」 シュバイツァーはにこやかな笑顔を私に見せた。 私は警戒するような目でシュバイツァーを睨みつけた。 そして2人になぜここまで来たのか経緯を聞いた。 チェスター「先ほどは本当に申し訳ございませんでした。私どもがこちらに来た理由は…大変申し訳にくいのですが…。」 ユウナ「一体何なんですか!?」 私は嫌な予感がしていた。 チェスター「カイルさんのお兄様であり,あなたの恋人であったカムイが…行方不明になりました。」 私の予感は見事的中した。
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