第二章:旅の理由

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扉を思い切り開け飛び出し辺りをキョロキョロと見渡した。 しかしどこを見てもカイルの姿は無い。 私はまた置いて行かれてしまったんだ。 そう思った時だった。 「あれ??そんなとこで何やってんの??」 私は声のした方へ振り向く。 「おいおい,なんで泣いてんだよ-。」 そこにいたのはカイルだった。 ユウナ「良かった…。」 私は安心してその場にしゃがみ込んだ。 その後私達はリビングに行き朝食をとった。 そして私は昨日の事についての謝罪をした。 だけどカイルはいつもみたいにニコッと笑いながら気にしてないから大丈夫と言ってくれた。 ユウナ「ねぇ…いつ出発するの??私も一緒に連れていってくれるの??」 私は気になっていた事を恐る恐る聞いてみた。 カイルは手に持っていたスプーンを口に運ぶのを止め,う-んと少し悩んだ素振りを見せたが覚悟を決めたような顔でこちらを見てきた。 カイル「ついてくるな…って行ってもユウナの事だからどうせくるでしょ??」 ユウナ「もちろん!!」 カイルの言葉に私は満面の笑みを見せた。 カイル「じゃあ決まりだな。今日の夜9時にこの村を出よう。それまでに準備とか済ませとけよな。」 ユウナ「わかった!!ありがとうカイル!!」 私は急いで席を立つと荷造りをし始めた。 3時間程経ちだいたいの準備が出来た事をカイルに伝えた。 カイル「そっか。てかさぁ…ユウナの家族には行くって事伝えなくていいのか??」 カイルはポリポリと顔をかきながら言った。 どうやらその事が一番気になっていたようだ。 ユウナ「いいのよ。私の親に行ったら絶対に反対されちゃうしさ。」 カイル「だけど黙って出て行くのもどうかと思うぜ。」 ユウナ「いいの。私もう決めたの。待つだけは嫌だ。色々なモノを犠牲にしてでも私はカムイを見つけ出すって。」 私は拳を強く握りしめながらそう言った。 カイル「そうかぁ…」 そう言うとカイルは友達の所に行ってくると言い,家を出ていった。 静かになった家に1人きりで私は古いアルバムに目をやっていた。 そして私とカムイとカイルの写る一枚の写真を眺めていた。 3人ともまだ幼い顔をしていて,付き合いたてだった私とカムイからはなんだかまだ初々しい感じがあった。 そんな懐かしい写真を1人見ながら私はカムイの事を考えていた。 やっと…やっと私はカムイを追いかける決心がついたのだ。 ユウナ「カムイ…今行くからね。」 私は写真に写るカムイを指で撫でながら小さく1人呟いた。
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