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たゆたう
運河にかけられた
そっけないコンクリの橋を
不確かな足取りで渡る
たった独りで渡る
夕暮れどきの重苦しい太陽に
おさえつけられて下を向けば
頼りないこの両足
無機質な石の塊
音がフッと消え
世界は不確かになる
……ぽちゃん。
この下から聴こえた
水の音
柔らかな音。
世界は音を取り戻し
両の足に感覚が戻る
マフラーにくるまり
独りではないと感じる
いつの間にか太陽は姿を消し
軽くなった顔をあげてみれば
暖かい夜、幾多の星に包まれていた
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