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電話を切った。
携帯電話なんか使ったことなかったけれど
何故か本能的に通話終了ボタンだけはわかった自分に驚いた
そのまま私は通話終了ボタンを長押しつづけ
電源を落とした
もうこれでこの気味悪い電話が鳴ることはないだろう
今日はもう遅いから
明日にでもこの携帯電話を交番に届けよう
きっと母か弟も
落とし物としてこの電話を拾ってきて届けるのを忘れていたのだろう
そんな勝手な解釈を
言い聞かせるように私は言葉として外の世界に吐き出した
!
何故‥
さっき確かに電源を落としたはずの携帯電話が
またけたたましい音をたてて鳴り響きだした
私は狂ったように通話終了ボタンを押し続ける
切れろ
切れろ
切れろ
私の願いは届かない。
何度も通話終了ボタンを押す度掌に異常なまでの汗をかく。
その汗で掌の中にある携帯電話が滑り
あたしは誤って通話ボタンを押してしまった‥
腹を括り電話に出ると男がボソボソと話していた。
電波が悪いのか
男が悪いのかはわからないが
よく聞こえず話しが掴めなかった。
ただ、わかったことは
簡単な作業で
多大な額の金が貰えるということだった。
そして待ち合わせ場所。
何故あたしなのかはわからない。
あたしは神様を信じない
だけどもうわからないことだらけで
この何分かの間にあたしはどっと疲れ果てていた。
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