4人が本棚に入れています
本棚に追加
『電話口だと解り辛いだろう』
そう言って男はビルの住所を私に告げた。
場所については
わかるようなわからないようなたどたどしい記憶だったが
取り敢えず向かう、と伝えた。
電話を終えた私を
弟は黙ってじっ、と見ていた。
私は何故だか罰の悪い気がして弟に言い訳するように
ひたすら喋り出した。
お姉ちゃんちょっと出掛けてくる
や、何かあるとかじゃなくて
友達、の家に行くだけだから
聞いてもいないのに
私はどうしてこんなに焦っているのだろう
そわそわしている私を見て
弟は
『いってらっしゃい』と優しく笑った。
その笑顔が嬉しい反面
とても苦しかった
最初のコメントを投稿しよう!