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『椿の花言葉…
申し分のない、魅力。』
男は堕ちた椿の花をゆっくりと拾い上げ、
そして一枚ずつ丁寧に
まるで恋人を愛でるように
花びらを
剥いだ。
まさにその瞳は
異常、と呼ぶに相応しい程の
愁いを帯びていた
キモチガワルイ
口に出してしまわないように
心の中でそっと呟く
全ての真紅な花びらを剥いだあと
手元に残った黄色を
その掌で
ぐしゃり
潰した。
その音は
とても元は花とは思えない
生々しい音で
私の耳にこびりついた
そんな私を見て
男はフッ、と笑い
そして申し訳ない!と笑った。
その顔にさっきの瞳はなかった
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