第一幕

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「咲ー!帰るよ!」 隣のクラスの友人に 大声で呼ばれる 「あ…うん」 手早く準備し 教室を出た 「今日は、委員会無いの?」 私が気だるく声をかける 「ん…うん しばらく無いみたい」 そう言った彼女の顔に チラリチラリと 憂いが見え隠れする あぁ…そうか 同じ委員会の先輩の事 好きだったっけ… 「そっか…」 軽い返事で サラリと流す と思ったら 「咲は?彼氏は?」 なんて返された 「今はいらないかな」 笑顔で返した 「なんだぁー、つまんない」 私に彼氏なんか 出来ないよ… だって私は とことん普通人間だから 鏡を覗けば 並の顔が見えるし 服を脱いでも Bカップの下に 目立たない胴と 下半身が付いてるだけ 成績表を開けば 5段階評価で 耳マークがならぶ 性格だって 女らしくもなく ましてや 男勝りにもなれず 上から 下から 右から左… 得意なことも 美点も無いのに どこの物好き男が 近付くだろうか… 私には そんな可能性 皆無に思えて仕方がない
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