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「え~…要するに、ここではこの公式を使って―――――代入――…」
窓から見える空は澄みわたっていて、ぼーっとするのにはちょうどいい昼下がり。
これで、授業が数学でなければもっと良かったのにと思ってしまう。
そんなオレの心を知ってか知らずか岡田はオレの名を呼んだ。
「鈴原ぁ~お前授業聞いてんのか?」
「はぁ…」
岡田はオレのリアクションに呆れた顔をし、先より強めに言った。
「じゃあ試しにコレ、解いてみろ~」
当然オレにその問題が解るはずもなく、周りは痛い沈黙に包まれた。
岡田はオレを見ながらニヤニヤしている。
その沈黙の真っ只中で、聴こえた声。
『答えはですね、x=1/2,y=4ですよ』
その音は、耳から口に通り抜けていった。
「x=1/2,y=4です」
オレの返答に岡田は表情を一変させ、小声で「正解」とだけ言った。
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