プロローグ

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半透明。 向こう側が透けている。 何あれ。 幽霊なんて普通居ないから。 頭の中を電気信号が駆け巡る。オレは2、3秒硬直していた。 ほんの2、3秒のはずなのに、長い時間そこに居たような感覚に陥る。 目の前の少し透けているその女の子の背中を凝視していると、不意に音が止んだ。 続けて、対象は動く。 ゆっくり。 いつかテレビで見た、水滴が水面に落ち、波紋を拡げるスロー映像のように。 それは徐々に体をひねる。 そして、完全に顔がこちらを向き、声が聞こえた。 『どなたですか?』 ここでオレの意識は途絶えた。
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