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"それ"は、最初は小さな点の集まりだった。
---鳥でも集まってるのかな?
だがそれは、段々と大きくなって行き、最終的には人に、黒い翼をつけたような…
敢えて例えるならば『悪魔』と言うのがしっくりくるような姿をした化け物が、無数に現れたのだ。
まさに、青天の霹靂。
それらは、手当たり次第に街の建物を破壊し始めた。
具体的に言えば、人間大の火球を無数の悪魔が投げつけたのだ。
崩れるビル。
鳴り響く壊れた車のクラクション。
一瞬にしてあたりは地獄絵図に変わった。
そしてそいつらは学校にも襲いかかる。
文字通り絹を裂いた様な悲鳴。
教室は騒然となり、授業は中断。
日頃の避難訓練の成果など全く見せずに逃げ惑う、先程まで一緒に授業を受けていた友達たち。
我先にと廊下に出た生徒達を待っていたのは、地面から解け出すようにして現れた、奇妙な生物だった。
出てきたのは150cm程度の低い身長に尖った耳、右手には棍棒を持っている…
例えて言うなら、童話やゲームにでてくる様な…そう、『ゴブリン』そのものだった。
そしてそいつらは、奇妙なことに全員が全く同じ見た目だった。
人間が動物を見るとほぼ同じように見えるのとは明らかに異質。
身長、顔…作り物のように、文字通り全く一緒なのだ。
奴らは耳元まで裂けた口を開き、手に持つ棍棒を振り下ろす。
ゴッ
耳に残る不快な音を残し、クラスのムードメーカーである琢磨が倒れた。それが、パニックに拍車をかける。
俺も混乱し、どうすればいいのか分からずに、雄太を見た。
こんな事態にも関わらず…いや、こんな事態だからこそ感情を抑えて頷く雄太。
「蓮、来い!」
二人は、教室を飛び出し、走り出した。
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