第6章

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「よかった…元に戻って…」 「聞こえたぞ…カリンの声…」 「うん…」 カリンは今にも泣き出しそうな顔でフェイトに抱きついてきた。そんなカリンの姿を見るのはフェイトも初めてのことだった。 「修平も悪かったな…オレ、もう少しであの時と同じ事を繰り返すところだった…」 「当たり前だ…」 修平も泣き出しそうな顔をしていた。同じ事になりそうだったことが怖かったのか、フェイトが元に戻ったことがうれしかったのかは、そこにいる誰にも分からない。 「そう言えばオールグは…?」 「そこで倒れてるよ」 フェイトはカリンが指を指した方を見るとオールグが目をつぶって倒れていた。もしかしたら死んでしまったのかもしれないと思い、恐る恐る声をかけてみた。 「生きてるか?」 「ふん…魔族の生命力をなめるな…」 「そうか…よかった…」 「敵が生きていてよかったか…フッ…」 オールグはフェイトの言葉を聞いて鼻で笑った。そして、フェイトは何かを思いだしたのか急いで話し始めた。 「そう言えば真帆達は大丈夫なのか?」 「分からないの…他のみんなは西塔に向かってくれたけど、どうなってるかは…」 「…行かないと…」 「えっ…?」 フェイトは急に立ち上がり壁の方に向かって歩き始めた。
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