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「フェイト!」
「真帆…」
フェイトは謁見の間から少し離れた柱にもたれ掛かって、何かを考えているようだった。
「いいのか王のことは?」
「少しくらいは待ってくれるよ」
「そうか…」
そこで一端会話が中断してしまった。こういうときには何を話せばいいのだろうと、真帆は迷っていた。
「何であんなに仲が悪いの?」
考えた末に、王とフェイトがなぜ仲が悪いのかということを聞いてみた。果たしてフェイトが答えてくれるかどうか…
「オレの名前は、フェイト・アルディスカ・ベルコフ…あいつとオレは親子なんだ…」
「えっ…」
「オレのフェイト・アルベールっていう名前は偽名で、フルネームの『アルディスカ・ベルコフ』の前二文字ずつをとって『アルベール』にしたんだ」
フェイトと王が親子…真帆にとっては衝撃的な告白だった。じゃあ、なぜフェイトはそのことを隠していたのだろうか。それに、実の父親がフェイトの暗殺命令なんて…
「なんで今まで言わなかったの?」
「オレは王の息子って言うことで、いずれ王の名前を受け継がないといけなかった…でも、上の位ってどうも苦手で嫌になって婆ちゃんのところに逃げていったんだよ…」
「じゃあバレルのが、嫌だからってこと?」
「そういうことだな…」
王様なんていったら好きなことができて、一生優雅な暮らしってことを想像していたがどうも違うらしい。本当はすごく忙しくて大変なことなのだ…
しかしそれが嫌になったってことは、ただ逃げているだけなのではないだろうか?真帆はそんな気がしてならなかった。
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