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怒ったときは暫く放っておくのが得策だ、それにしても怒った顔は可愛いが似合わないな、等と思っていると電車が来た。
電車とは言っても小ぶりな路面電車なので、既に帰宅中の人達でぎゅうぎゅう詰めだった。
いつも通り素早く壁際の場所を確保し、志野の手を引いてそこに入れてやり、向かい合うようにして立つ、こうして小柄な志野が人に押しつぶされるのを防ぐのだ、私ってば紳士だね、ああ盾か、でも志野の為なら矛にもなるよ。
『あ…有難うございます』
『気にしないの、いつもの事何だから』
『それより、機嫌直してくれた?』
『別に怒ってなんかいませんでしたけど……』
『へー』
『またそんな私を馬鹿にしたような返答を…』
『なんでなんで?』
(この人聞いちゃいない…)
『ただ…いきなりで…』
『いきなりで?』
『恥ずかしかっただけです…』
『抵抗しなかったのに?』
『っ…それは…その…』
あぁ恥じらう姿も可愛いな。
『(もじもじ)恥ずかしかっただけです…(上目使い)』
『真似すんな!』
『シー、静かに、ここは電車ですよ―』
『ぐぬぬ…』
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