可愛い後輩と私

4/5
前へ
/42ページ
次へ
怒ったときは暫く放っておくのが得策だ、それにしても怒った顔は可愛いが似合わないな、等と思っていると電車が来た。 電車とは言っても小ぶりな路面電車なので、既に帰宅中の人達でぎゅうぎゅう詰めだった。 いつも通り素早く壁際の場所を確保し、志野の手を引いてそこに入れてやり、向かい合うようにして立つ、こうして小柄な志野が人に押しつぶされるのを防ぐのだ、私ってば紳士だね、ああ盾か、でも志野の為なら矛にもなるよ。 『あ…有難うございます』 『気にしないの、いつもの事何だから』 『それより、機嫌直してくれた?』 『別に怒ってなんかいませんでしたけど……』 『へー』 『またそんな私を馬鹿にしたような返答を…』 『なんでなんで?』 (この人聞いちゃいない…) 『ただ…いきなりで…』 『いきなりで?』 『恥ずかしかっただけです…』 『抵抗しなかったのに?』 『っ…それは…その…』 あぁ恥じらう姿も可愛いな。 『(もじもじ)恥ずかしかっただけです…(上目使い)』 『真似すんな!』 『シー、静かに、ここは電車ですよ―』 『ぐぬぬ…』
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

371人が本棚に入れています
本棚に追加