1147人が本棚に入れています
本棚に追加
「何で急に?いっつもそんなんせんかったじゃん。」
兄は笑いながら言う。
うん
うん…
そうなんだけど
私は俯いたまま兄に
「何時に帰ってくるん?」
と聞いた。
「明日の昼には帰ってくるで。どしたん?何かあったんか?」
私は
「今日は行かないといけんのん?」
と聞いていた。
兄は驚いたような、困ったような顔をして
「友達と約束したけぇ行かんといけんわ。ほんまに何かあったんか?」
何もなかった。
だけどなぜか
その日だけ
凄く凄く、行ってほしくなかった。
勘だろうか。
私に不思議な力はない。
でもなぜか凄く凄く行ってほしくなかった。
兄は「明日には帰るけぇ」と私の頭をぽんぽんと叩き
出かけて行った。
勘だと思う。
しかもたまたま当たった勘だと思う。
兄は還らぬ人となって戻ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!