消された兄

10/17
前へ
/340ページ
次へ
いとこたちは言った。 「あいつ(兄)暴走族だったんだな!だっせ!だから死ぬんだよ。」 「いい迷惑だよ。わざわざ葬式呼ばれてさ。お前らみたいなのと血が繋がってると思うと虫ずが走る。」 私だって同じだよ。 思ったけど口に出さない。 後ろには小さい妹たちがいるから。 何も喋らない私が面白くなかったのか 「きったね!それ片付けとけな!」 とほうきを投げ付けいとこたちは去って行った。 ごみだらけのお勝手口を私と妹は黙々と片付けた。 何故、こんなに敵意を剥き出しにされるのか理解できなかった。 理由のわからない敵意や憎悪に立ち向かえるほど、12歳の私は強くなかった。 私と妹は火葬場に行けなかった。 兄の最期の姿も、お骨を拾うことも、させて貰えなかった。
/340ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1147人が本棚に入れています
本棚に追加