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大ばぁは戦前の早瀬家本家に嫁いできた。
そして戦争が始まり、大ばぁの旦那(以下大じぃ)が兵隊として満州だかロシアだかに行くことになった。
大じぃと大ばぁに子供はいなかった。
兵隊に行けば、きっともう帰ってはこれない
覚悟し、危惧した大じぃは、大ばぁに遺言を託す。
「わしは本家の直系なのに、お前に、早瀬家に、子孫を残してやれなかった。
お前に早瀬家のすべてを託す。何としてでも早瀬家の血を繋いでほしい。
そのためには舵取りが必要だとかねてから考えていた。お前(大ばぁ)にそれを託していいか。
お前はまだ若いが早瀬を背負って生きてほしい。そのためにはわしの全財産を使ってでも、血を繋いでほしい。」
大じぃはそのまま異国で還らぬ人となった。
大ばぁは、大じぃを愛していた。
だから頑なに遺言を守ろうとした。
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