消された兄

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兄が中2になった頃だった。 平日は夜必ずどこかへ出かけ、週末は帰ってこない。 特攻服に身を包む兄を何度か見て あぁ、兄は暴走族に入ったのだと知った。 暴走族に抵抗はなかった。 兄は変わらず優しいし、話しかけても普通に接してくれる。 あまりお菓子や可愛い文房具を買ってくれなかった親に代わり、中学になってある程度お小遣を貰えるようになった兄は、私たちにもいろいろ買ってくれた。 暴走族のことはあまり触れないようにしていた。 兄とよく顔を合わせれば会話してたけど、暴走族の話はあまりしたがらないから だから兄がどこで何をしていたか実際何も知らない。 いじめと教師いびりが日常茶飯事だった小学生時代。 私がいじめられたことはほとんどなかった。 元々冷めていたのでいじめがいもなかっただろうし “兄が暴走族”というのは小学生にとって十分すぎるバックグラウンドだった。
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