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今も私は、運ばれた病院で、治療を受けています。
おかしいですよね。
私はもうどこも悪くなんて無いのに。
これはきっと、お父様の差し金かしら?
全く、過保護ですよね。
そう思ったら、少し笑ってしまいましたわ。
でもここは、赤しかないの、お兄様。
天井も、壁も、床も、ベッドのシーツも。
みんなみんな赤色をしてますの。
みんなは平気なのかしら?
でも私は気が狂いそうです。
だってお兄様、お医者様の白衣まで、赤色なんですよ?
白衣といったら、字の如く白い衣がお決まりだと思っていましたから、これには驚きました。
そして何より、掌にこびり付いた赤色が、どうやってもとれませんの。
この間、そばにあった金タワシで力いっぱい擦ったんですが、それでも駄目でした。
お医者様に止められてしまった時には、手の皮が剥けて肉が覗いていたそうです。
夢中になると、ついつい、いけませんね。
何かこの赤色を落とすいい方法、お兄様は知りませんか?
お兄様だけは、赤色をしていませんから、私はお兄様に会うのが嬉しくて仕方ないんですよ?
先日、お兄様が恋しくて窓の鉄格子を外そうとしたのですが、上手く行かず、看護士さんに危ないと叱られてしまいました。
別にそう高さがある訳でも無いのに、大袈裟ですわよね。
だから、お兄様。
また、すぐに会いに来て下さいね?
私待っていますから。
ずっと。
ずっと。
──ずうっと。
ねぇ?
お兄様。
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