667人が本棚に入れています
本棚に追加
/434ページ
グーー。
なんて物思いにふけっていると、お腹から大きな音がした。
「……」
思えば、今朝起きてから水以外の何かを口にした記憶がない。
お腹がすくのは当たり前だ。
何か食べようと、すくっと立ち上がった時だった。
「こっころー! 引っ越し手伝いに来たよー!」
「ちょっと沙奈、勝手に開けたらダメだって何回言ったら……
あら、もうだいぶ片付いてるじゃない」
「お邪魔しまーす!
うわ、ほんとに陸の部屋そっくり」
「同じマンションなんだから当たり前でしょ。
あ、藤枝。ごめんね、俺らまでお邪魔しちゃって」
沙奈、愛子、八木くん、川上くんが玄関を開けて入ってきたのは。
静かだった室内が、一気ににぎやかになる。
「……なんだよ、全員集合かよ」
そして一歩遅れてやってきたのは、開けっ放しの玄関先で、あからさまに嫌そうな顔をしている陸だ。
最初のコメントを投稿しよう!