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この加藤親子との出逢いは一年前。
その日珍しく、透は学校を早退した。
と言うのも、その日に限ってやたらと喧嘩を売られまくり、疲れてしまって適当に理由を付けて学校をサボったのだった。
家の側にある公園を通り過ぎようとした時、公園内から女性の大きな声した。
そちらに目をやると、変な男に迫られてる加藤親子が居た。
「近寄らないでって行ってるだろっ!」
「いいじゃないですか、子供なんか放っておいて僕と楽しい事しましょうよ」
「ふざけんじゃねえっ!」
「怒った顔も素敵ですね~。
益々好きになりました」
理恵の後ろで泣きじゃくるまどか。
幼いまどかは、理恵の後ろに隠れるしかない。
「さあ、僕と一緒に来るんだ」
「止めろって!」
「うるさいっ!」
男が右手で理恵の頬を叩こうとした、その時。
「子供の目の前で、暴力はよくないんじゃない?」
振り上げた男の手を、見事に掴む透。
突然の出来事に、男も理恵もまどかも驚きを隠せない。
「な、なんだね君は!?」
「なんだねチミ(君)はって?
そうです、あたすが変なおじさんです」
「バカにするなっ!」
男が透の胸元を掴んだ。
が、男よりも透の方が背が大きい。
「そんなんじゃ脅しにもなんないよ?」
そう言うと透も男の胸元を掴み、そのまま持ち上げた。
男の足は地面に着いていなかった。
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