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男をそのまま公園に残し、三人は歩き出した。
「いやあ、助かったよ~。
あの男滅茶苦茶しつこっくってさ。
まどか居るし、親として他人に暴力振ってるところを見られちゃヤバイしなあと思ってたら、タイミングよくあんたが現れたからさ」
「今の股間蹴りは立派な暴力では?
てか…えっ!?親!?」
「あたしこの子の母親~」
「随分若いですね。
失礼ですが幾つなんですか?」
「19」
「ええぇぇぇぇっ!?」
「ヤングママだよ、略してヤンママ」
「いや、ヤンキーママの間違いでは…?」
「あはは、そうとも言うかな。
あたし元々レディースで頭やってたし。
あ、でも今では堅気の普通のママだから」
「堅気の普通のママなら男の股間蹴らねえよっ」
と言いたかったが、倒れている男の二の舞にはなりたくなかった透は、そっと言葉を飲み込んだのだった。
「そういえばあんたは何者?」
「若者です」
「ちげえよ、学生さんかい?」
「高校生です」
「あれ?学校は?」
「サボって来ました。
これから家に帰るところです」
「じゃあうちにおいでよ。
助けてくれたお礼したいし。
ねっ、まどか」
「うん、お兄ちゃん来てっ」
すると、まどかはおもむろに透の右手を握った。
「う~ん…解りました」
「よっしゃ、行くぜ~い」
「行くぜ~い」
その後透は、加藤家で延々と理恵の武勇伝を聞かされる羽目になったとか。
こうして透と加藤親子との付き合いが始まったのだった。
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