1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
~さよなら~
ガチャ..
ドアの覗く部分のシャッターが開いた。
『面会だ。』
暗く重い声で看守がそう言った。
オレは面会室に向かった。
綺麗な黒髪の美しい女性..
そこに居たのはユミだった....
ユミとは高校の頃から付き合っている。
今でも恋人なのか?
その疑問が頭をよぎった。
『久しぶり..痩せたね。』
ユミは優しい声でそう言った。
『あぁ..でも飯はちゃんと食べてるよ。ユミの料理ほど美味しくは無いけど。』
オレは笑った。
『フフフ..相変わらずね。』
ユミの笑顔が懐かしかった。
『みんなは....まだ諦めずに、あなたの無実を証明しようとしてる。』
真剣な眼差しでユミはそう言った。
『もう良いんだ...みんなにそう伝えてくれ。オレは大人しく刑を受けるから。』
ユミの顔が悲しみに包まれていった。
『そんな...諦めないで...』
ユミの綺麗な瞳には涙が溜っていた。
『もう時間だ。』
看守が冷たく言い放った。
『んじゃ...元気で..。オレの分も生きて...それが...それがオレの幸せにつながるから...。』
小さな声でつぶやくように言った。
オレは背を向けた。
最初のコメントを投稿しよう!