Prologue ~序章~

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えっ?どうして夕日の美しさが胸を打つのか知りたくて世界中を旅してるだって?? 君って奴は随分とおかしなことを言う人間だね。でも、君がこの丘に来たのはある意味正解だと思うよ。だってさ、この地で夕日が生まれたんだからね。 えっ?何だって??おいおい…質問は一度に一回にしておくれよ。  全く…人間って生き物は何でも知りたがるから困ったもんだよ。 ところでさぁ…僕が思うに…どうもこの世の中ってのは、何でもかんでも「理由」ってやつをつけたがるみたいだね。 「どうしてああなの?」だとか「どうしてこうなの?」だとか…。それも全ての事柄にだよ!!「理由」がなかったら何もできないっていうのかい?全くわかっちゃいないんだから! まぁ…それは人間だけに言えることじゃないんだけどさぁ…。  とにかく上も下も、右も左も、みんな「どうして?」「何故?」って四六時中さ。 だから僕は、いつもそういったことを聞いてくる輩にこう言ってやるんだ。 「君の胸には入り日の優しさが届いていないのかい?」って。こう言うと、大抵の奴は僕のことを「変な奴」って決め付けて、それ以上はこの話を続けようとしなくなるんだ。全くもって、何もわかっちゃいない奴等さ。 えっ?そう言うお前は何者かだって??うーん…ハハハ…まぁいいじゃないか…ちょっと込み入った話になるんでね。…それに君に話したところで信じちゃあくれないさ。 そう言えば昔、これと同じようなことについて、僕に大口を叩いた奴がいたなぁ…。  そいつはとても短気な奴で、本当さ、とてもとても短気な奴で、周りの誰とも上手くやっていけない奴だった。僕も人のことはあまり言えないけど…。それにしても、あいつは本当の怒りん坊だったよ。君も奴を知ってたら、そう思うよ絶対に。  でもさ、本当のことを言うとね…あいつは何か不思議な優しさを持った奴だったんだよ。それがわかるのには、偉く時間がかかったけどね。 おっと、僕がこんな風に褒めてたなんて、絶対に告げ口しないでおくれよ。きっと照れ隠しに怒って暴れ出すからさぁ…。 それでね、そいつ…短気で怒りん坊、いわゆる乱暴者のくせに、花や草木を眺めるのが好きな奴でさ、暇さえあれば、いつもこの丘でシャボン玉を吹かしてたんだ。何か似合わないだろう?そんなのってさぁ。
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