第零話:プロローグ

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「『事実』って、厳しいね…」 「お待たせしました!」 「「!?」…」 落ち込んでいた所に突然背後から声がしたので、二人は『ビクッ!』と体を震わせた。 「ん?。どうかしました?」 「シェルの速さに驚いたの…。まだ一分位しか経って無いじゃない。昔より早くなってない?」 「医師免許取る為に勉強してるんですが、その合間に走ってたんで、何時の間にか速くなりしまた」 シェルは胸を張り、えばって見せるがクロスは難しい顔をして額を押さえる。 「クロスさん?」 「シェル…。水が、零れて空だぞ…」 「「あっ!?」」 メルとシェルはバケツを見つめて口を開けた。 「やれやれ…。今度は私が行こう…。『歩いて』な…」 ------------------------------ 「‥そろそろ、私は行くとしよう…」 使った物を全て片付け、クロスはコートのボタンを全て閉めてから踵を返す。 メルは久々の再会が早々に終わる事を残念がったが、クロスの「やらなければ成らん事がまだある…」と言う言葉に仕方なく納得した。 「あ、じゃぁ僕も途中までご一緒します。メルさんはどうしますか?」 「もうちょいここに居る。折角だから、ライジンさん達に会っておきたいし」 「何か合ったら、また手紙を書く…。‥ではな…」 シェルとクロスは何かを話ながら、坂を歩いて降りていった。 メルは二人が見えなくなった後、墓を一度振り返る。 「‥リルルさん…。会わない事が罪滅ぼしには成らないよ?」 雪はより一層の激しさをました。
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