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唇を触れ合わせるだけの、可笑しなくらい子供っぽいキスなのに……。
ふたりともぎこちなくお互いを抱きしめている。
離れてしまうとぬくもりが消えてしまいそうで。
柔らかくて……これが夢なんじゃないかって思えて。
長く長く、ずっと……
華奢な身体を壊さないように――でも、強く抱きしめる。
いとしくて、弱くて、大切なモノだから。
……胸が痛い。
抱き寄せられている音夢の胸から感じる鼓動も、信じられないくらい早い。
「……ん」
音夢が顔を離す。
「……はぁ……ん……難しい」
「息止めてたのか?」
「だって」
軽くうつむいて、音夢が胸元で手をもじもじとこする。
「…………」
「嬉しいね……幸せすぎるよ……兄さん」
「音夢……」
そっ、と。
羽のように。
どちらからともなくまた、ぎこちないまま、唇を重ねる。
「…………」
「…………」
by 朝倉純一&朝倉音夢/D.C.
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