-prologue-

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今まで、こんなにも鮮明な夢を見たことがあっただろうか。 いつの間にか、目の前には荒野が広がっていた。 ただ地平線が広がるばかりで、先は見えない。 "……マヤ………。" どこからか聞こえた誰かの声に反応して視界がその方向へ移動する。 誰か立っている。 一人ではない。 二人。 だだっ広い場所に、浮き出るように並んでいる。 彼らの距離は互いの顔が見える程度だろうか。 向き合い、人形のように動かない。 二人の間を絶えず風が通りすぎ、髪だけが靡いていた。 だが良く見てみると、一人は、体が小刻みに震えている。 そしてもう一人の髪の長い方は、自身の身の丈程もある見たこともない大きな剣を、片手で握っていた。 まだなにが起こった訳でもないのに 怖かった。 既に結末を知っている映画でも見ているような気分に陥る。 目を離そうとしても、自分の意思で視界は動かない。 "…マヤ……。" また声が響いた。 恐らく声の主は震えている方だろうか…。 言葉の意味は分からなかった。 刹那。 剣を持っている方が動いた。 動いていなかったのが嘘のように、一瞬で相手との距離を詰めた。 その勢いのまま振り上げられた剣は、何の躊躇もなく下ろされる。 一瞬の間があった後、切れ目から真っ赤な液体が飛び散ると同時に、死体が地面に崩れ落ちる。 大量の鮮血は容赦無く辺りを赤く染めた。
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