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少女はベッドで力をいれたまま、暫く動けずにいた。
「嫌な夢…。」
言った途端頭に激痛が走り、思わず顔が歪んだ。
「…ッ!!」
頭に手を当てて痛みに耐える。
「芽依ー、早く起きなさい。遅刻するわよー。」
下の階から自分を呼ぶ母の声が聞こえた。
少しすると痛みは少しだけ和らぎ、少女は学校に行く支度をして階段を下りる。
「珍しいわね、寝坊するなんて。
…頭痛いの?」
歩くとやはり頭に響くのか、手で押さえて眉間に皺を寄せている芽依に気付いた母は、心配そうに娘の顔を覗いた。
「うん…ちょっと。」
「大丈夫なの?無理しなくていいのよ?」
「大丈夫。いってきます。」
芽依は気遣う母を見ることもなく玄関を出た。
「…。」
シンと静まり返った玄関で、母は娘が出ていった玄関のドアを見つめ、首をかしげる。
すると、階段の上で物音がした。
「…?なにかしら…。」
気になった母が階段を上がると、先ほどまで娘のいた部屋から何かの気配を感じた。
部屋の前まで行き、誰もいるはずのない部屋のドアをゆっくりと開ける。
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