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さっきまで聞こえていたあの笑い声は、聞こえない
関西弁独特の訛りで話すあの低くて耳に残る声も、聞こえない
亀の字、って僕を呼ぶ声ももう聞こえない。
静まり返った食堂車に、もうあの金色は存在しないのだということを思い知らされる。
狭いと思っていた食堂車も君がいなくなっただけで、随分殺風景になって広く感じる。
…こんなに広かったなんて君がいた時は気付かなかったな。
いつまでもクマちゃんと叫び続けるリュウタの声
僕は一切窓の外を見ることは出来なかった。
叫んだりしないし叫べない
哀しさや寂しさは言葉すらも発させてくれなくて。
背筋が凍りつきそうに冷たい
でもいつまでも悲しんではあげないよ。
僕たちには時間がないんだ。
今だって指先が消滅の時をカウントダウンしてる
だから、君が必死で守ろうとしたものの為に、僕も賭けってやつをしてみるよ。
キンちゃんが格好良く最後を決めちゃったんだから、僕も負けてられないしね。
君だけにいい格好はさせないよ
守りたいものの為に、だなんて詐欺師の僕には相当似合わないものだろうけど、たまにはそうゆうのも悪くないかな。
但し、僕はその為には手段を選ばないけどね。
歪んだ方法でしか君の示した道を歩めない僕を君は嘆くかな?それともお前らしいな、なんて笑うかな。
キンちゃんはお前らしいって笑ってくれるかもしれないけど、皆は凄く怒るだろうな。
リュウタはカメちゃんの馬鹿!とか膨れそうだし。
先輩は…いつもの事か。
楽しかったよ、皆がくれた皆といる時間
キンちゃんが言ったように僕らに過去という思い出はないけど、良太郎や皆といた記憶は残ってる。
こんな僕でも“思い出”っていう宝物を作ることができた。
僕は皆みたいに素直に謝るなんて格好悪くてできないから、その分僕を心から嫌になるくらい僕を憎んで。
僕は他人の憎悪の念には慣れているから何て言はないしね
………でも、何でだろうね。
さっきから震えが止まらないんだ。
…………怖い?この僕が?
ねぇ良太郎。これが君に教える最後の嘘だから、忘れないでね。
僕の嘘は嘘の為の嘘。
千の偽り、万の嘘。
先輩、リュウタ。
良太郎と愛理さんの事、後は宜しくね?
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