最終話『決着と別れ』

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まだ母は帰って来ていないようで部屋で二人話をしていると電話だ。 プルルル。 メリー「あの娘からの電話だ」 少年は恐る恐る受話器を取った。やはりあの声で。 「「私メリー。今あなたの家の近くに居るの」」 ガチャ。 ツーツー。 少年「メメメリーど、どうしよう」 落ち着くんだと少女は言った。 あの娘は淋しい子なんだと。 プルル ガチャ。 「「私メリー。今あなたの部屋の前にいるの」」 ブツ。 ツーツー。 怯えている少年の前には、仁王立ちの少女。 メリー「さぁ、メリー君は何がしたいんだ」 少年「あ、わ、わ、わ、」 プルルル。 ガチャ。 「「私メリー今あなたの後ろにいるのぉおあああああ」」 少年は見た。 金色のベリーロング。 赤い瞳。 笑顔のようで恐ろしい顔。 赤黒いドレス調の服 瓜二つであって対をなす。 正反対の二人。 メリー「くっ」 あくまで狙いは少年の様だ。 逃げるんだっという声で我に返った少年が目にした物。 メリー「早く逃げて…くれ」 ズタズタに引き裂かれ、刃物が所せましと刺さった少女。 少年「う、あ、で、でも…」 メリー「早く!!」 少女の今までに無いほどの強い口調に押され部屋の出口へ走る。 後ろからは太く恐ろしい声が聞こえた。 「「行かせないいいいいい」」 グシャ。 ザシュ。 メリー「あぐ、あっうがぁあ」 少女の声に、振り返る少年。 刃物が少女の顔に刺さっていた。 ドタン。 あまりにもムゴイ光景に少年は意識を失った。 ガバッ。 酷い汗だ。 少年は、家の居間で目を覚ました。 二人の少女はおらず、居間の風景は何事も無かった様に普段通りだった。 ただ。 ズタズタに引き裂かれ見る影も無い程になってしまっている人形が転がっていた。 少年「め、メリー…」 夢では無かったのだ。 ズタズタになった人形を少年は、ギュッと抱きしめた。 『僕は生きているよ。ずっと君の中でね』 少年にはそう聞こえたような気がした。 『僕らは君達の扱い次第で善にも悪にもなる。』 『だから気をつけて。』 『人形は大切に、ね』
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