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それでも、僕は毎日その丘に足を運んだ。
夕美が、姿を見せなくなって、4日がたった。
僕は、ドキドキしながら丘を登っていた。今日は、彼女に会えるかな?とか、いろいろ考えた。登るスピードも自然と速くなった。桜の木がどんどんはっきり見えてきたとき、そこにもう一つ見えた物があった。
「夕美!!」
そう言うと、彼女は振り返り僕の大好きな笑顔で
『結斗!』
と言った。
僕は、夕美に歩み寄った。
「やっと、逢えた。心配してたんだよ?」
『ゴメンね…。』
「いやっ、夕美が元気そうで良かったよ。僕はそれだけで十分!」
僕が、そう笑顔で言うと夕美も微笑んだ。
『結斗…私、結斗が側にいてくれればそれでいい…他に何もいらない。』
「なんだよ…急に💦」
『別に、何でもないよ?ただ…いってみただけ。』
彼女のいきなりの発言に正直驚いた。
「なんだよ…あっ、またからかってるだろ?」
『うんん。からかってないよ…。これは…私の本心だよ。』
夕美は、いつもみたいに笑ってた。だけど、いつもとはどこか違ってた。
「夕美?本当にどうしたんだよ??」
『別に、どうもしないよ…。もー!こういう時は、僕もだよとか言うんだよ?』
僕を安心させようとしたのか、夕美はいつもの明るくていたずらな夕美に戻ってた。
でもこの時、この異変をもっと疑っていれば夕美を幸せに出来たのかも知れない。
でも、その頃の僕は幼くて、夕美の“なんともない”の一言を聞いて無理矢理、心を安心させてしまった。
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