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「あ、いや…珍しいものばかりあるから、つい。」
確かにカズマの世界には臓器の薬はない。
その後、カズマとルナルは他愛もない話をしていた。
「カズマ、傷薬も買ったからそろそろ行くぞ。俺の鼻血も止まったしな。」
ガルンが店の奥から出てきた。噛まれた手に包帯をして、血がついた毛皮も綺麗になっている。
「それじゃあまたねガルンさん。今度君の店に行くよ。」
「おう、コーヒーぐらいはサービスしてやるよ。」
そういって二人は店を後にした。
「さて…腹減ったしなんか食いに行くか。」
ガルンが持っている時計をみるとすでに正午を指していた。ドラゴンも入れる食道を探して歩いているとラグが急に走りだした。
「あっ!どこに行くんだよラグ!」
カズマは慌てて追い掛けた。人込みを掻き分けて進み広いところに出るとラグが屋台の前で座っていた。
「まったく、急に走りだすなよ。」
しょうがなくラグを抱き上げるとそのままいつものポジションについた。
「そのドラゴン、君の友達かい?」
屋台の店主が不意に話し掛けてきた。
「え?まあ、友達かな?」
ラグの顔を見て答えると、ラグもそれに答えるようにカズマの顔を舐めた。
「相当仲が良いみたいだな。よし、キミとドラゴンにコレをあげよう。」
すると店主は焼きたてのお好み焼きのようなものを二つパックに入れてカズマに手渡した。
「あ、いいんですか?」
「いいともいいとも。ドラゴンと仲良くしてる奴に悪い奴いないからな。ちなみにこの子名前は何ていうんだい?」
ラグ、そう答えると店主は胸ポケットから小さなノートを出し何やら書き始めた。
「名前はラグ…種族はブラックドラゴンの子供、年齢は推定2才。うーん、80って所だな。」
店主は何やら一人でブツブツと、独り言をはじめた。
すると店主の後ろから長髪の男が出てきて一発殴った。
「まったく!急にいなくなったと思ったら何やってるんだ!」
「なにって、ドラゴン観察。まぁ、どれもガルディには劣るけどな。」
「そんな事はどうでもいい!さっさと戻るぞ!」
首を掴まれ、店主は裏路地へと消えていった。
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