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「なんだったんだろ?」
カズマはつれていかれる店主みながら、この世界はまだ解らない事だらけだと思った。
「はぁ、やっと見つけた。」
ガルンが息を切らしながら人込みの中から出てきた。
「ん?手に持ってるのなんだそれ?」
花をひくつかせながらガルンが手に持っているものを凝視した。
「この屋台の店主がラグと僕にくれたんです。でも店主はどっかに連れていかれちゃって。」
屋台を指差すとガルンが言った。
「ああ、店主って、ロインの事だなきっと。店の看板で解るわ。」
改めて看板を見るとそこには黒いドラゴンがさっきもらったのと同じものをくわえている看板だった。
「そういえば、ガルディって言ってました。」
「ああ、それはロインのドラゴンだよ。しかも超溺愛してるヤツだ。」
その後の話を聞いているとロインという人はドラゴンに関する知識と免許を持っているドラゴンオタクらしい。こっちの世界でも、このような人はやっぱりいるみたいだ。
「さてと、それ早いところ食っちまおう。冷めると美味しくないからな。」
ガルンに連れられて町の公園についた。中央に噴水があり、まわりでは獣人や竜人の子供たちが元気に走り回っていた。
「あそこのベンチにするか、ラグも早く食べたそうにしてるしな。」
カズマはラグを見るとすでに涎を垂らして今にも飛び付きそうな勢いだ。ちなみにカズマの肩は既に涎まみれだ。
「ラグは僕と半分づつね、はい。」
パックについていた紙ナイフで半分に切ってラグに渡すと、前脚で器用につかみ食べはじめた。
「やっぱ味付けはドラゴン向きだな、ちと俺には薄い。」
ガルンは紙ナイフを使わず素手で食べていた。
「でも美味しいですよ。生地がモチモチです。」
10分もしないうちに二人と一匹は食べ終え、その後町の市場へ行き日用品や店で使うものをたくさん買い込んだ。大半はドラゴン便(宅急便のようなもの)で店に送ってもらい、もてるものは手に持った。
「さて、これぐらいだな。そろそろ帰るとするかな。カズマ、ラグ行くぞ。」
辺りを見回したが、そこにはラグの姿も、カズマの姿もなかった。
「…やべ、迷子&迷竜かよ。」
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