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隅っこで膝を抱いて蹲る者に、まるで隠れん坊をしている鬼のように、私がそう言う。
すると、まるで今まで寝ていたかのようなゆっくりとした動作で『ペット』が顔を上げて私の方を力無い眼差しでじっと見つめてきた。
艶やかな黒髪はさらりと揺れて、離れていても分かるくらいの深い、深い…──。
そんな様子に、苦笑しているのか楽しんでいるのか…私はどちらとも言えない笑みを浮かべた。
「ごめんなさいね。なかなか学年委員の集まりから抜け出せなくて、何時もより遅くなっちゃった…」
でも、と私は付け足して、ポケットに入れておいた小さな小型ナイフの刃を出す。
「お詫びとして、何時もより多めにあげるから…」
だから許してね?
そう言いながらそっと人差し指の付け根にあてがう。
そして何の躊躇いもなく私は銀に輝く鋭利な刃に軽く力を入れて皮膚に食い込ませた。
途端に慣れた皮膚が裂ける感覚と、ピリッとした痛みがそこから伝わる。
だがその痛みを気にせず刃を皮膚に食い込ませたままゆっくりと指先まで伝わせていく。
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