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ナイフをポケットにしまいながら呆れたような顔で私は立ち上がり、這い蹲る『ペット』に近付き、何とか私より体の大きい上半身を起こして壁に寄りかからせた。
力無く壁に寄りかかる『ペット』の顔色が揺らぐ蝋燭の光に照らされていても“白”ではなく“青白く”見えるのは気のせい…では、ないだろう。
「あらあら………大丈夫?」
「……だい、じょうブじゃ…ナい……」
ボー…っとした目で何処か宙を見つめながら、片言な日本語で『ペット』は小さく答えた。
普段よりも数倍ぽや~っとしているせいか、カッコいい筈のその顔は何処かマヌケだ。
でも元から地声が低く艶のある声だから、囁くように言うその声はやたらと色っぽく聞こえる。
気の抜けた今の顔を見なければの話だけど…。
「顔色悪いよ?ちゃんと用意しておいたご飯食べたの?」
「たべ、タ……うぅッ…」
するともうダメ、といった感じで小さく呻き、重々しく瞼を閉じて頭を壁に寄り掛かった。
何時もは白い筈の肌が、今は死人のように青白い。
しかもラフな格好を好む『ペット』が普段から着ているのはYシャツと黒ズボン。
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