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先程濡れた石畳の上を這い蹲ったせいで、その両方は濡れて汚れてしまっていた。
(これじゃあ拾った時と変わりないじゃないの…)
また小さく溜息をこぼし、血が止まり始めてきた人差し指の傷の周りの皮膚を揉みだす。
縦に、横にと傷口を揉んだせいか、新しく血が滲みだしてくる。
「……………ほら、私の血だよ…?」
そう言って人差し指を横にし、『ソレ』の唇に軽く押し当てて血を付けた…時だった。
血の味に反応したのか、突然左腕を強く掴まれて私の人差し指は荒々しく『ペット』の口腔内へと含まれた。
そして閉じられていた瞼が開かれて……途端に、私は直感的に悟った。
“ 食 わ れ る ”
「ッ、こら!!」
反射的に私は『ペット』の頭をバシンッ!と空いている右手で平手のように思いっきり叩いた。
そして叩いた拍子に『ペット』の口が小さく開き、私はすかさず指を抜いて立ち上がり、少し距離を置いた。
「っハァ………ぁ…ッッ……!」
餓えた獣のような眼光を向けてくる『ペット』。
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