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その瞳はとてもギラギラとした光を放っており、薄く笑みを浮かべている口元の血は青白い肌で毒々しく映えていた。
けれどそんな眼も綺麗で、不思議と妖艶に見えるその笑みに…思わずゾクリと粟肌が立つ。
そんな私を双眸を細めてじっと見つめ、ゆっくりとした動作で腕を上げて手の甲で唇を拭い…手の甲に付いた私の血を赤い舌で丁寧に舐めとった。
…ほんの僅かな血でも惜しいと言わんばかりに。
けれどもゆっくりとした動作から見て、まだ少量の血しか摂取していないので力が入らないのだろう。
…本来ならこの『ペット』にとって、この石畳の世界程の距離ならば手を伸ばせば届くような範囲でしかないのだから。
それでも私を殺さない辺り、少しは『理性』が残っているのだろう。
だがそれでも今は『理性』より『本能』の方が勝っている。
どうにかして『理性』を戻させないと…。
私がそう考えながら『ペット』を見ていると、蝋燭の光に照らされているせいか…異様に赤く見える舌で唇をぺろりと一舐めした。
私は獣のような『ペット』から顔を手に向け、表と裏に返して人差し指を見る。
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