渚の決断

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灯也くん、キョウくん、歩くんはその日のことは全く知らなかった。 無関係とはいえ、さぞ複雑な気持ちだったことだろう。 これから起こることを察し、先ほどの女の子2人を外へ連れ出したようだ。 「俺は9組のみんなを信頼している。だから最低限のことは守ってもらいたい。俺だって生半可な覚悟でやってるわけじゃないんだ。」 「コウ。3年9組の責任のとり方は?」 「連帯…責任……」 「そう。」 さっきまであんなに楽しそうに笑い合っていたのに… まるで嘘のようだ。 「ハァ……」 茜くんは大きな溜め息を一つ洩らすと静かに口を開いた。 「…じゃあ今から一人ひとり罰を言い渡す。」 言いたくないことだろうけど… やっぱり創設者として、そして生徒会長として、けじめをつけるために決意した様子でそう言った。 そんな… どうしよう… 全部私が悪いのに…… 「コウ。」 「はい…!」 「お前には今年最後のビッグイベント“白蝶祭”の“Mr.ミスコン”に9組代表として出てもらう。」 「ええぇっ!」 「返事。」 「は、はい…」 どうやらコウくんにとって効果抜群の罰のようだ。 「リョウ。」 「はーい…」 「今後走るの厳禁。…お前息上がるの早えーんだから。見つけ次第“アノ人”に速攻通報。」 「うえぇー……はーい…」 喘息持ちなのかな… そっか。 あの時のあれは発作だったのかも… それにしても“あの人”って… 通報って…!?
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