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僕はとりあえず制服に着替えて普段の日常を思い出していた。
いつもは心弥が作ってくれる朝食。
でも心弥はいない。
炊きたての白いご飯
毎日具の違うお味噌汁
僕らの好きな卵料理
香ばしい焼き魚…
でも心弥はいない。
今の僕らにそんな余裕はないし、作れるわけがない。
心弥がどれだけ大きな存在なのか思い知らされる。
どんなに忙しくても朝食は食べなきゃダメなんだって。
じゃないと力が出なくて倒れてしまうかもしれないんだ。
っておじさんに習った。
だから何か絶対食べなきゃ。
僕が今できること。
それは…
「ゴウ起きてるー!?朝ご飯、パンでいーい!?」
「うーん!」
パンを焼くこと!
─…
9時間は寝たはずなのに…
眠い…
とにかく早く着替えなきゃ。
こんなに焦るのは久しぶりで…
思わずボタンを掛け違えて
やり直し。
「あーもう…!」
自分に腹が立つ。
コウが朝食の準備をしてくれてるのに俺は何やってんだ…
情けない。
今できること…
とりあえず2階の戸締まりの確認をする。
コウの部屋は…と。
確認してよかった。
「コーウ!ネクタイ忘れてるー!」
「あ!ごめーん!持ってきてー!」
下から自分と同じ声の返答が返ってくる。
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