ふたご事情

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「顔に何か付いてます?さっきから俺じっと見て。」 「あ。いや…えぇー三上ー。」 「はい。」 ─… 「ハァハァ…もうダメ…ちょっと休もう!」 「ハァハァ…そうだね…どうせ遅刻なんだし…」 ─… 「……ねぇ…覚えてる?お母さんの顔。」 「…覚えてるに決まってるじゃん!どうしたのいきなり?ゴウらしくない…」 「俺さ… “よく思い出せない”んだ。 忘れるはずないのに…何故だろう…前より確実に忘れてってる。いや…分からなくなってきてるって感じかな…」 ゴウ…? まさか、そんな… いや…もう “始まったのか”? まだ早いはず… ダメだ… まだ… まだ“思い出すとき”じゃない! 「コウ…」 「な、何…?」 「俺… 何か忘れてる?」 そうか… やっぱりそうなんだね… 「何かって何だよ…変なのー。」 「…そうだよね。何言ってんだろう俺。変なこと言ってごめん。さ、そろそろ行こう。」 「ほんとだよ!変なゴウ!」 ─… そうして僕らはまた走り出した。
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