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AM9:50
「─…で、あるからしてー」
駄目だ…全く分からない!
私は思い切って質問してみることにした。
「先生…あの、よく分からないのですが!」
「ん?どこがだ宝堂?」
「最初から最後まで全てです…!」
「んー…結構お前たちに合わせて説明してるはずなんだがなぁ。」
どうやら私はそのお前たち以下のようです、乙夏先生。
「先生、僕も今のは少し難しすぎたのではないかと。」
心弥さん?
見ると、その表情は微笑んでいるようだった。
もしかして心弥さん…
フォローしてくれた?
優しすぎる!
ん…?
ふと横を見ると茜くんが片肘をついて出入り口に目をやっているのに気づいた。
「茜くん?どうしたの?」
「いや、そろそろかなって。」
バタバタバタバタ
ガラガラ!
「佐久間鋼太!只今参上!」
シーン…
「なぁに寝ぼけたこと言ってんだ。」
「せ、先生!?やっぱりいるし!」
「ぶはははは!何だその頭!外は台風だったのか!?」
「違うもん!家から全力疾走してきたの!人の苦労も知らないでっ!」
「自業自得だろ?ま、この機会にせいぜい自立するんだな。」
「…アキのバカ。」
「…ほーう?」
そしていつものように小競り合いが始まるのであった。
その間にゴウくんがゆっくり姿を現した。
「あ、おはよう!」
「…おはよう。」
ゴウくんは乱れた髪を直しつつ返事をしてくれた。
わずかに目を背ける姿が何だか可愛らしかった。
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