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「っと……手ぇどけてくれねーか?俺は何も争いに来たわけじゃねぇ。ただ挨拶に」
「渚に手を出したら許さねぇ…!」
「へーぇ。」
何が挨拶だ。
何が許可をもらいに来ただ。
最初から奪うつもりだろうが。
「残念だなぁ。まぁこうなることは最初から目に見えてたことだしなぁ…」
俺は更に胸倉を掴んでいた手に力を込めた。
目と鼻の先に奴の顔がある。
「ご主人様は大層気に入ってるそうじゃねーか。あの女を。」
「それ以上喋ってみろ…二度と喋れねぇようにしてやる。」
「………。」
少しの沈黙が流れた。
だが奴は怯むことなく沈黙を破った。
「宣戦布告。」
一言そう呟くと、俺の顎をぐいっと引き寄せ…
「そう受け取ってもらって構わねーぜ?」
そう目の前で吐き捨てた。
「さてと…俺の用は済んだんだけどなぁ。いい加減離してもらえねーか?茜ちゃんよう!」
ガシャーン!!!
瞬間…
俺は強い力で胸倉を掴まれ、奴によってあっという間に臓器が展示されている後ろのショーケースに投げ飛ばされた。
投げ飛ばされたというより叩きつけられたという表現の方が正しいのかもしれない。
「く…っ……!」
油断したつもりはなかった。
ただ奴の力が思いのほか強かった。
「いいザマだなぁ。まぁそういうこった。せいぜい楽しもうぜ?」
「ま…待て…!」
自分が思っている以上にガラスが深くあちこちに突き刺さっていて、鋭い痛みが走る。
「…綺麗な顔が台無しだな。いや、違うか。何とかも滴るいい男ってかぁ?ハハハハ!」
「お前に一つ…っ……聞きたいことがある…」
「いいぜ。何でも答えてやるよ。今の俺は気分がいい。…お前のそんな姿を拝めたんだからな。」
言わせておけば…
いや…今はそんなことどうだっていい。
「ありさを…ありさという子を知っているか……」
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