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*side...Akane*
「…かね…茜っ!」
名前を呼ばれた気がした。
夢か?
「茜!茜っ!!」
いや…違う。
これは…
混濁する意識の中、ゆっくりと目を開く。
まだ焦点も定まらないまま襲ったのは、全身の痛みだった。
「ぐっ…!」
「茜っ!よかった…」
「コウ…か…」
ようやくはっきりと意識を取り戻した俺の目に入ってきたのは、涙を浮かべたコウの顔だった。
「どうした…何を…泣いている……」
コウの涙を拭い取ろうと右手を伸ばそうとするが…
腕が上がらない。
「茜っ…茜っ!死んじゃったかと思った…!うぅっ…」
死ぬ?
俺が?
何の冗談だ…
「茜…!」
「茜先輩!」
ゴウと…
灯也までいたのか…
「よかった…」
急に灯也がへたり込んだと思ったら…
「本当…心臓に悪いよ…」
ゴウまでその場にへたり込んだ。
「安心したら腰が抜けちゃいましたよ…」
「同じく…」
そうか…
俺…
やられたのか……
そう理解できたのは、鮮血に染まった自分の制服が目に止まったからだった。
死んだかと思った…か…
「勝手に…人を殺すんじゃねぇよ…」
できるだけ口元を上げそう吐き捨てた。
すると3人はお互いに顔を見合わせて苦笑いするのだった 。
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