宣戦布告

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―… 早く… 早く…! 手遅れになる前に…! 「は…っ…はぁ…っ…」 「………。」 足がガクガク震える。 昭斗に半分以上の体重を預けているにもかかわらず、だ。 痛みのせいか息もしづらい。 手の感覚はもうない。 気を抜けば意識を手放しそうで… 必死に踏ん張る。 普通あれぐらいでここまでなるだろうか… 変なところに傷を負ったのかもしれない。 自分が思っている以上に傷は深いようだった。 本当に取り返しのつかないことになる、か… あながち間違いではなかったのかもしれないな… それでも俺は… 渚を救いたい。 「あ…いた…いましたよ、渚さん!」 先を歩いていた灯也が知らせてくれた。 ただ、何故か灯也はそのまま立ち止まったままで… まるで何かに釘付けになったように… 「…どうした?」 さすがに不思議に思ったのか昭斗が口を開いた。 「え………」 コウやゴウまで言葉を失っている。 「渚……?」 やっとのことで追いつき、高まる鼓動を抑え静かに皆の向く方へ目をやる。 どうして… 泣いているんだ…
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