嵐のあと

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久しぶりに教室に向かうが足取りは重い。 みんなになんて顔合わせればいいんだろう… どう振る舞えば一番いいんだろう… みんな心配かけてごめんね! 宝堂渚、完全復活しました! なんて… 明るく振る舞うのはわざとらしいか… 考え込んでいるうちに9組の目の前に着いてしまった。 とりあえず深呼吸… 私は勇気を振り絞ってドアに手をかけた。 すると、勝手にドアが開いた。 「あ…渚…ちゃん……渚ちゃん!」 私の目に飛び込んできたのはリョウくんの泣きそうな顔だった。 「…リョウくん……おはよう…」 ちゃんと笑えてるかな… 私、今どんな顔してるのかな… 「渚!」 「渚ちゃん!」 「渚先輩…!」 「渚さん!」 「宝堂先輩…!」 「…渚ちゃん!」 「………!」 次に視界に飛び込んできたのは… ガタガタと音を立てて椅子から立ち上がり、次々に私の方に駆け寄ってくるみんなの姿だった。 「もう…いいのか!?」 「大丈夫!?」 「ずっと…心配だったんだよ…」 「渚さんがいない9組なんてつまらなすぎて…僕、蒸発するところでしたよ!」 「馬鹿!ちょっと黙ってて!」 でも… “みんな”じゃない。 一人足りない。 「渚ちゃん…辛かっただろう…今回の僕は…あまりも無力だった……」 「いえ…そんな……」 心弥さんは顔をしかめて本当に悔しそうに言った。 「宝堂…先輩……」 歩くんは一人離れたところで、独り言のように何かを呟いたようだったけど全く聞こえなかった。 ただ、何ともいえない表情で呆然と私を見つめていた 。
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