嵐のあと

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「歩…?どうかしたのかい?そんなところで呆然と立ち尽くして…」 「あ……すみません…」 歩くんは本当に心ここにあらずといったような感じで、慌てて私の方に駆け寄ってきた。 「…宝堂先輩…あの、僕…すみません…」 「大丈夫?歩くん、顔色悪いよ?」 「いえ…大丈夫です。そうじゃなくて…」 「……?」 歩くん元気ないな… 私のせいで迷惑かけたのかな… 「歩?」 キョウくんも怪訝そうな顔で歩くんを覗き込む。 「僕…!」 「歩。」 歩くんが何か言いかけようとした瞬間、心弥さんが歩くんの肩に手を置いて顔を覗き込んだ。 「やっぱり顔色が悪い…保健室に行こう?」 「……はい。」 「歩、あまり無理するなよ!」 灯也くんも心配そうに歩くんに声をかける。 「うん…ありがとう。」 灯也くんの方を振り向いて、そう返した歩くんの表情は無理して笑っているようだった。 「宝堂先輩…すみません。あの…無事でよかったです。失礼します…」 「歩くん…!」 何か…様子がおかしい。 いつもの歩くんじゃないみたい… 「僕がついていくから、渚ちゃんはみんなを安心させてあげて。ね?」 「…はい。」 そうだよね… 私より心弥さんがついてる方が安心だよね? 心弥さんっていつでも冷静なんだな。 すごいや… 歩くんと心弥さんが出ていった後、唐突にコウくんが声を発した。 「渚ちゃん…ちょっと痩せた?」 「え…」 コウくんの突然の問いに私は戸惑ってしまった。 「ちゃんと食べてる?ちゃんと寝てる!?」 コウくんは私の手を握って詰め寄るように問いかけた 。
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